2.プロフィシエンシーの概念
ジュニアP検で今回導入した「プロフィシエンシー」とは、知識やスキルを現実の状況、即ち、ある文脈の中で応用して、何らかの目的を持つ作業や仕事を遂行する能力のことである。
言語の分野におけるプロフィシエンシーとは、ある場面での適切なコミュニケーションができることであり、算数のプロフィシエンシーとは、買い物をした時にきちんとお釣りを計算できることを意味する。
英語の単語を覚えること、算数のドリルで計算問題を解くこと、歴史の年号を記憶すること、理科で回路に流れる電流を計算すること等は、必要なトレーニングではあるが本来の教育の最終目標ではない。
プロフィシエンシーとは、知識やスキルを総合して、現実の状況の中で能力を発揮することであり、我が国が目指す子供たちの情報教育の実施にあたっては最も適切な概念ととらえている。
教育の目標をプロフィシエンシーの獲得とすることにより、ジュニアP検では子供たちが達成すべき基準を明確にし、それにより学習内容を決め、カリキュラムを設定し、一人一人をどのような基準で評価すべきかを策定している。
この基準とは、教師が教えるべき内容ではなく、子供たちの発揮しなければならないパフォーマンス目標、あるいは学習としての到達目標である点、また、基準が示すのは、学習すべき知識やスキルの項目群ではなく、プロフィシエンシーであるという二点で、我が国の従来定められている学習指導要領とは一線を画している、新しい概念である。
これによりジュニアP検は、どんな知識、スキルを獲得しなければならないか、と同時に、獲得した知識やスキルをどれだけ現実の状況の中で運用できなければならないかということを包括的に含んだ教育カリキュラムとなっている。
情報技術の世界では、「ワープロソフトで文字が入力できる」というスキルを定義するのではなく、そのスキルを使って「調べ学習で調べた内容を報告書にまとめることができる」という運用能力こそが評価の対象となるのである。
近年の学習理論である「構成主義」の基本は、学習者は知識を伝達される者でなく、主体的に活動するものであり、子供たちは、自分たちを囲む世界との関わりの中で一貫した知識体系を築き上げる、という考え方であり、最大のポイントは、活動を通じての学習、という点である。
現実に則した作業によるプロフィシエンシーを規定し、それを育む教育システムを設計することが、これからの子供たちの教育にとって極めて重要なことである。
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